エリート達よ
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ナパーム弾というのをご存知でしょうか?
ナフサとパーム油を主原料とするその兵器は
ベトナム戦争などで多くの兵士を焼き殺した米国のある会社の製品です。
核についで凶悪ミサイルとして抗議運動が起こり、今はもう生産されていないようです。

ナパーム弾はものすごい粘着性をもっており、
草木はもちろん、人体に付着すると二度と取れることはありません。
そしてそれ自体が半日以上燃え続けます。
人間は火傷では簡単には死にません。戦場はまさに地獄となるわけです。

意外にも抗議が起こったのはアメリカの大学です。
「金が儲かれば企業は何をやってもいいのか?!」
と訴え、署名を集め、告訴しました。
しかしうまくいかなかったため、ついには皆でお金を集めて会社の株を買い、株主となって総会で抗議し、とうとう工場からナパーム部門を撤廃させました。

日本ではこんなことはできません。
それは株主の力が弱いからということも挙げられます。
日本の株主と言えばせいぜい社長任命や本社所在地の決定などに関わるくらいで
経営に口を出すことはできません。それどころか大半は細かな決定にすら関与していません。

戦後、日本の政治を操る事に成功したアメリカは(第23話参照)
英語教育はもちろん、財閥の解体を行いました。
戦争で日本をなめていたアメリカは
戦艦大和、零戦闘機などの日本の技術力や底力をまのあたりにし、
「この国は必ず復活する」と、日本の復活に確信と脅威を感じました。
日本を二度と戦争のできない国にしたかったのです。

当時日本は株主の力が強く、三井、三菱、住友などの財閥が
重工業、銀行、造船、電気機器などをしきっており、
財閥が各産業を連携させて戦車、戦闘機、戦艦などを作らせていました。
これに懸念を感じたGHQは、財閥を解体すると同時に、株主が経営に口を出せないようにしたのです。

しかしこの策は(アメリカにとって)失敗だったといわれています。
大株主の力を抑えるのと同時に、他の株主の主張も封じ込めてしまったためです。
かくして日本の経営者は株主の意見を気にすることなく経営が行えるようになりました。
そしてめざましい高度経済成長期に突入する事になります。
地価は上がり、東京23区の土地の値段でアメリカ全土が買えるほどにふくれあがりました。
一時は世界を経済支配しようとさえしたほどです。

しかし もちろんいい事ばかりではありません。
歯止めのきかなくなった経営者は 利益の為に数々の公害を引き起こし、
また現在でもトップの不祥事が相次いでいます。

どんなに素敵な夢を持って、立派な志をもって企業に入っても、入社して10年もたつと
コスト削減、お金儲けが第一になってしまうと言われています。
コストがかかるからリコールしない・・・儲かるから表示を偽る・・・

これから企業で活躍し、偉くなるであろう人達は強い意志と自制心を持たなくてはなりません











技術は友達か
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科学技術はどこまで進歩するべきなのか?どんなベクトルを持つべきなのか?

数年前、昔よく行っていた裏山へ行くとカブトムシがたくさんいました。
最近の子は取りに来ていないようです。
遊びにもいかず、TVゲームにかじりつく子供を見てこころよく思う親はいないでしょう。

”ノートパソコンは客先でも家でも移動中でさえもサラリーマンに仕事をさせる道具だ”
という皮肉を言う人がいます。

ネットにはまり、現実世界では人とまともにコミュニケーションがとれなくなっている人が増えています。

技術の発展は必ずしも人の心の豊かさを意味するわけではありません。

自他共に認める豊かな国 日本で、年間3万人を超す自殺者がいる事が意味する所は何なのでしょうか?

先日、新聞で TOYOTA、ロボット産業に力を入れる。とありました。
老人介護や店での接客をさせるというものですが、
日本人は鉄腕アトムの影響か、ロボットを作りたがる傾向があります。
しかし今までのロボットは、歩いたり、ただ犬だったり、踊ったり、役にたたなかったから良かったけれど、
役に立つロボットを作るということは、
もしこの先、人間の人件費よりも、ロボットの方が安くなってしまったら、
人間はいらなくなってしまいます。
これはクローン人間と同じくらい倫理的に問題であり、騒がれてもいいと思います。

新技術はすばらしいものですが、核、クローン人間、仮想現実世界など、
分野によっては行き過ぎてしまったという疑問を感じずにはおれません。

これから先 人の生きがい、社会への影響、多角的な意味での”豊かさ”の点で、
技術革新に対し、十分な考慮を行うべきなのは間違いないでしょう。






だい26話
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